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ラノベの出版に関わる会社、個人は?また企画から販売までの流れ

ラノベの出版に関わる会社、個人 ラノベ入門
出版社が中心となりラノベの制作や販売が行われる

インターネットが流行する前の本は、すべて紙でできていました。
文章等が掲載された複数の紙の束を、“本”と呼んでいたわけです。
本と非常によく似ているノートとの違いは、文章等の有無にあります。

本を作るのはたとえノートがなかったとしてもとても簡単で、束ねた原稿用紙をホッチキスのようなもので留めれば完成となります。
私は中学生の頃、学校の授業で修学旅行の感想文の本を手作りで制作したことがあります。

ラノベもこれと同じ要領で小説家がその気になれば本を自分で作って売ることもできるわけですが、実際にはそうしません。
通常は、本の企画から編集、校正、宣伝、販売を行う出版社に依頼します。

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出版社と小説家とイラストレーターの関係性

ラノベの制作に不可欠な編集者、小説家、イラストレーター
ラノベ成功には3者の協力が不可欠

自作の小説で収入を得ている人小説家自作のイラストで収入を得ている人イラストレーターです。
主にラノベを書いている小説家は、ライトノベル作家またはラノベ作家と呼んだりすることもあります。

私が愛読しているラノベのファンレターの宛て先には住所の他に、
「D文庫編集部」
「K先生」係また「H先生」係
との記載があります。

D文庫編集部は、O出版社の中にある一つの部署です。
ここで働いている人の多くはO出版社の正社員で、一般的に編集者といいます。
一方、小説家やイラストレーターは出版社の社員ではありません。

小説家やイラストレーターは、芸能人、歌手、プロ野球選手あたりと立場が似ています。
副業で活動している人も含めて、この二つの職業は個人事業主として出版社と契約を交わしています。
あくまで法人と個人事業主という関係の出版契約で、事業主と労働者という関係の雇用契約を結んでいるわけではありません。

ラノベ販売に欠かせない七つの工程

ラノベの出版の流れ
ラノベの企画から販売に至る全体的な流れ

作詞も作曲もするシンガーソングライターがいるように、イラストも描ける小説家もいるらしいですが、二兎を追う者は一兎をも得ずといった感じであまり現実的ではありません。
小説は小説を書くのが得意な人に、イラストはイラストを描くのが得意な人に依頼するのが普通です。

流れとしてはまず小説家が小説を書いて、その後にイラストレーターがその小説を読みながら表紙や中表紙等のイラストを描くことになります。
本1冊作るだけなら、この2人だけでも十分でしょう。
でも、実際この本で飯を食うためには、同じ本を何千何万と刷り、それらをさらに売り込む必要があります。

そこで重要なのが、編集者の役割です。
編集者は、出版のまとめ役です。小説家やイラストレーターが執筆活動に専念できるよう、企画立案、校正、宣伝、印刷の手配などの裏方作業を一手に背負います。
これだけの作業をこなしているにもかかわらず、表紙に大きく名前が載る小説家やイラストレーターと違い、編集者の名前はあとがきに小さく載っているだけです。

紙の発行に不可欠な印刷会社と製本会社

印刷と製本
印刷と製本の両方を行える会社もある

本を商売にしている編集者でも、おそらく小説は書けるでしょう。でも、実際にはそうしません。なぜなら、出版社が小説家を雇うのと同じことになるからです。
では、なぜ雇わないのかといえば、固定費(人件費)が嵩むからです。
たとえ今人気絶頂でも、それがいつまで続くのかだれにもわかりません。売れたり売れなかったりする小説家を定年まで雇うのは、出版社にとってリスクの高いことなのです。

餅は餅屋の理論で、印刷や製本についても外注で行っています。
印刷とは、文字や絵を紙などに写すこと
製本とは、印刷した複数の紙を束ね表紙をつけて、1冊の本としてまとめること
この2つに、企画や執筆、宣伝、流通などもひっくるめて出版あるいは発行といいます。

印刷も製本も、数ある出版作業の一つでしかありません。
出版社と印刷会社また製本会社、それぞれの関係性は依頼人と請負人で、出版社がそれぞれの会社に注文をして初めて契約が成立します。

紙幣や商品券、領収証といった1枚の紙であれば、製本作業は不要で、印刷が終わったら製本会社を通さずに消費者へ届けることになります。
でも、書籍や雑誌などの本は印刷作業だけでなく製本作業も必要不可欠です。
よって、出版社は印刷、製本の両方が行える一つの会社に依頼するケースが多数見られます。

出版社と取次会社と書店の関係性

出版社と取次会社と書店の関係性
出版社と書店の間に出版取次会社を置くのが一般的

製本会社等でラノベができあがったら、あとはこれを書店まで運び売るだけです。
ただ、出版社では、販売を出版取次(しゅっぱんとりつぎ)会社といわれる販売会社に委託しています。
この取次会社と書店の関係性は、卸売問屋と小売店に近いです。
取次会社の役割は、出版社と書店の仲介です。
主な業務として流通(配本と返品)があります。

通常、店に置く商品の種類や数はお肉屋さんや魚屋さんなどの小売店が決めます。
卸売問屋から購入した商品に利益を上乗せして消費者に売るわけです。
もし売れ残ったら、その分は小売店の損失となります。
本屋さんも小売店ですが、出版業界の場合は少し事情が変わってきます。
店に置く本の種類や数を決めるのは出版社です。
書店は出版社が勧めた本を取次会社経由で仕入れて読者に売ります。

このような仕組みをとっているのは、無名の小説家の本を積極的に売るためです。もし選択権を書店に委ねたら、有名な作家の本しか注文しないかもしれません。
それでは出版社は困るのです。もしその本まで売れなくなったら、出版業界の中から小説が消えてしまいます。

かといって、無名の小説家の本が消費者にまったく見向きもされなければ、書店は商売あがったりです。
そこで、重要になってくるのが返品。
出版業界では、売れ残りの商品を出版社に返却していい決まりになっています。
これは、食べ物のように賞味期限がない本だからこそできるメリットです。

電子書籍の登場で出版業界の仕組みが変わる?

電子書籍の出版
電子書籍は紙の書籍よりコストがかからない?

印刷も製本も配送も不要なのが電子書籍です。
ネット書店の電子書籍とWEB小説サイトの電子書籍の違いは、お金の要否くらいしかありません。

印刷会社も製本会社も運送会社も使わないのなら、「出版取次会社も?」と思うところですが、電子書籍専門の取次会社はあるようです。

ただ返品や在庫管理は不要なため、業務は金融機能やマーケティングデータ提供など一部に限られます。
また、農業でよく耳にする産地直送ではありませんが、取次を通さずに出版社と書店が直接取引をするケースが少なくありません。

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