頭の中で完成した物語を言葉で表現したのが、小説でありラノベだと説明しました。
言葉は絵と違って人の口からでも内容を相手に伝えられます。
ただ、文字数が多いときは、いつまでも頭の中に留めておけるものではありません。
コンピューターと違って、人の記憶は時間の流れとともに薄れ変化していきます。
そこで、完成したラノベは原稿用紙なりワードなり自分の頭とは別の場所で残しておくのが一般的です。
そこからさらに、世の中のだれもがいつでも手軽に読めるよう本にすることを出版(あるいは書籍化)といいます。
通信で利用できる情報は主に映像、音声、文字の三つがあります。
ラノベは文字情報の集まりです。
出版物は、テレビや新聞、CDと同じその情報をより多くの人に届けるための通信手段(メディア)の一つです。
書籍と雑誌と新聞の違いとは?
出版物の種類は、書籍と雑誌の二つに大きく分けられています。
週刊誌や月刊誌という言葉からわかるように、毎週や毎月など定期的に発売されている本もしくはサイズの大きな本というイメージがなにかと強い雑誌ですが、これは雑誌と呼ぶときの必須条件ではありません。
たとえばコミックス。
週刊誌等のコミック誌で連載している漫画の単行本をこう呼んでいるわけですが、出版業界では雑誌として扱っています。
書籍と雑誌の違いは、発売のペースでも大きさでもバーコードでもなく雑誌コードの有無にあります。
本の裏表紙に0~9で始まる5桁の数字が記載してあれば雑誌です。
雑誌コードのない本はすべて書籍となります。
出版物とよく似たメディアに新聞があります。
どちらも聞くことはできず、見たり読んだりして情報を手に入れます。
新聞は1部100円前後ととにかく価格が安いです。
しかも、速報性に優れていてほぼ毎日発行されています。
新聞の記事の中には必ずと言っていいほど連載小説が載っています。
ラノベが掲載されている新聞はないのかと探してみましたが、今のところはなさそうです。
ラノベの販売方法の主流は文庫本から単行本に移行?
2021年現在連載中のライトノベル専門の雑誌はほんの数点です。
漫画と違って、雑誌で小出しにしていた作品をまとめて単行本化するという流れはあまり見られません。
雑誌はほぼ無視しても問題ないでしょう。
その代わりといってはなんですが、ラノベは以前からずっと文庫化に力を入れてきました。
文庫本のいいところは、比較的低価格であることと手のひらサイズであまりかさばらないところです。
書籍は判型(JIS規格基準の本の大きさ)の違いにより呼び名が変わることがあります。
文庫本の判型はA6判(105×148ミリ)。
単行本は小B6判(112×174)、B6判(128×182)、四六判(127×188)、A5判(148×188)、菊判(152×218)などいろいろな種類があります。
文庫本と単行本の中間に位置する新書本は(106×174)か(103×182)のいずれかです。
文庫本 単行本
2014年 230億円 99億円
2020年 140億円 143億円
これはラノベの文庫本、単行本それぞれのおおよその年間売上です。
ご覧のように、文庫本はかなり下がっていますが、単行本は着実に伸びてきています。
ラノベの電子書籍の売上と単価はどのくらい?
2016年97億円、2017年115億円、2018年128億円。
以降はよくわかりませんが、1年で10数億円伸びていることを考えると、2021年は160億円くらいになっていたとしても不思議はありません。
一般小説の中にはまだ紙でしか販売していないものがあるようですが、ラノベは通常、文庫本も単行本も紙媒体、電子媒体の両方で販売を行います。
電子書籍にサイズは関係ありません。文字の大きさはパソコン、タブレット、スマホなどの通信機器によって決まります。
では、電子の価格はページ数によって決まるのかと思うところですが、実際は紙の価格を基準にしているようです。
紙が文庫本なら700円前後、単行本なら1200円前後になります。
出版社にもよりますが、弱冠、紙よりも電子のほうが安い傾向が見られます。
電子書籍のいいところは、本屋等に出かけることなくすぐ読めるところと、部屋のスペースをまったくとらないところです。
電子書籍を読むときには、インターネットにつながったパソコン、タブレット、スマホのいずれかが必要となります。
10代でスマホを持っていない人を見つけるほうが今の日本では難しいくらいなので、この点は特に留意する必要はないでしょう。
ただ普段スマホばかり使っている人は、目を休ませる意味でなるべく紙のほうを選択したほうがいいのかもしれません。
ラノベと似ているライト文芸、新文芸とは?
インターネット上には、無料で読める若者向けのWEB小説専門のサイトがいくつかあります。
このサイトに掲載されている作品の多くは、イラストがついていません。
これをラノベと呼ぶべきかという議論はひとまず置いておいて、ラノベに近い小説であることは紛れもない事実です。
その証拠に、ここからたくさんのラノベの単行本が誕生しています。
ある出版社では、WEB小説から生まれた小説群をラノベと区別して「新文芸」と呼んでいます。
文芸とは言語で表現される芸術のことで、小説の中でも純文学に近いポジションとなります。
初出が紙の一般文芸に対して、新文芸は電子と紙の両方で出版しているのが大前提です。
また、一般文芸とラノベの中間に位置するものとしてライト文芸という小説もあります。
ラノベ、ライト文芸、新文芸のいずれもアニメチックなイラストがついており異世界などファンタジー要素が多いところも含めて非常に酷似しています。
違いはどこにあるのかというと読者層で、ラノベは10代、ライト文芸は20代、新文芸は30代をターゲットにした作りになっています。
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